お茶を飲むよりアチアチアドベンチャー(アニメビックリマンEDより)

あれやこれやという間に
もう7月が終わってしまう。
夏だ。
もう。
あっちゅーまに夏休みになっちまうんだ。
大人になってからというもの
夏はワクワクの対象ではなく
暑さとの戦いの季節になっていると思う。
海なんか行かないし。
キャンプは行くけど。
今年はキャンプは無理だ。
実家でじいさんの法事がある。
親戚一同が集まる。
どうせたくさんお小言言われて居心地悪くなるに決まってる。
うう。


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小1の頃、
夏休みの結構長い間、母方の家にお世話になっていたことがある。
それは1週間だけだった気もするが
2週間だった気もするし、
夏じゅうお世話になってた気もする。
小学1年生の俺にとってこんなに長く家を離れたのは初めてだったから
よく期間は覚えていないが、「長い」期間だったことは分かる。
母方の家は当時子どもがいなかったから
俺はかわいがられていた。
相当!
今になってみると申し訳ない気持ちで一杯だが
わがまま言い放題なのですごく楽しかったのを覚えている。


もう随分と前に死んでしまった母方のじいさんに無理を言って
プールに連れて行ってもらった。
カブのケツに乗り二人乗りで行った。
めちゃくちゃ暑い中、風を切って走るのは気分がいい。
その少し前方を走る、俺と同じようにじいさんのカブのケツに乗った
友達がこっちを見て笑っている。
お互いにお互いのじいさんにわがままを言ったのだ。
俺らプールに行きたいんだって。


母方の家の隣に住んでいる彼とはこの夏はずっと一緒に過ごした。
TVゲームもしたし、山を探検もした。
宝探しと称して倉の中を漁ったり。
山から流れてくるきれいな水の用水路を
泥のダムでふさいでせき止める悪戯をした。
盗んだスイカ食いながら。


毎朝ラジオ体操にも行った。
ラジオ体操は必ず行くという約束を両親としていたから
毎朝そこの村のラジオ体操に行っていた。
ある日のこと。曇天の朝。
俺は当時から変わり者で
ラジオ体操が終わった後ひとりで違う道を帰りたかった。
だから判子をもらってからこっそり一人で帰った。
そんなことですら、知らない土地でする事はアドベンチャーだったんだ。
そしたら道の途中に小さい墓地があり
見たことのないばあさん達が井戸端ならぬ、墓端会議をしていた。
俺はちょっと恐くなった。
うつむき加減で歩いていく。
ばあさんたちは話すのをやめて
じっとこっちを見ている。
人が少ない村に突然見知らぬ子どもが一人で歩いていたのだから
今は当たり前のリアクションだと思うが。
俺は恐くなって走り出した。
そしたらばあさんが連れてきた犬が狂ったように吠えだした。
もうね、俺ね、うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ってなって全力疾走!
犬は吠えながら追いかけてくる!
うぎゃあああああああああああああ
って俺、全力を超えたスピードで疾走!!
俺は運動なんかからっきしだったのにね。
んで家の玄関になだれ込み泣いた。
母方の人たちには今でもこのときのことをからかわれる。



毎日楽しくて
今でもよく覚えている。
小学生の頃のことは少しづつ忘れてきているけど、
なんだかこの夏のことは忘れなそうなんだ。

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今年の夏休みは休めるのかなあ。
休みたいなあ。
休んでアドベンチャーがしたい。
いつもと違う道を帰りたい。
そこで待っているのが恐い犬だとしても。