俯瞰して見る景色

上京したての一年間は埼玉某所のスタナーの家に居候していた。
野郎の三人暮しで金もなくて仕事もなくて
チャリンコで隣駅のスタジオにいったり
日雇いやったり
スタナーを公園の木に縛って水鉄砲の的にしたり
それを子供に見られて指差されたり
いろいろと思い出深い。
またある時は
近隣の小さい公園で覆面姿の俺らと
その頃はまだオカマキャラだったイザベラと三人で
対戦型映像上映会の煽りVTR撮りをしたりしてた。
イザベラはかなり女だったが気持ち悪かった。
スタナーはドン引きしてたな。



最近仕事でよくそのあたりに行くようになった。
俺は家を売る広告を作っている。
住環境というものも念入りに調べて
その住まいのスペックを細やかに分析して
導き出した「売り」をビジュアルで伝えて行く仕事だ。



環境調査も思い出の場所めぐりみたいなものだ。
スタナーを縛り付けた公園のあたりなんて
メインビジュアルである。
メカカマダとも明け方によくあのあたりをぶらついた気がする。
三か月だけニートだったんだけど
完全に昼夜が逆転してたからな。
明け方よくうろうろしてた。
んでスタナーが働いてた某牛丼チェーンにただ飯を喰いに行く。




ゲーム屋とか古本屋とかやたらあったり
住宅街だと思ったら突然バイパスが現れたり
バイクで移動してたら
巨大な橋の上で行き止まりになったこともあるな。
激安のスポーツ施設付きスーパー銭湯なんてあったよなー。
とかいろいろ思い出してみることがそのまま仕事。みたいな。
作ってて凄く楽しかったな。
俺は凄くいい街だと思う。
自分で地図を書き起こしてみると
いかに自分らが狭い範疇で暮らしていたかも分かる。
あの道はここに繋がってたのか!とか。





でも最近どんどん昔のことを思い出せなくなってるから
やっぱり道に迷ってみたり。
モデルルームの撮影に使う小道具を現地調達しようとしても
どこに洒落たサニタリー用品が売っているかすら思い出せずに
現在もこの辺りに住んでいるスタナーに電話する始末。




自分の街だった場所を客観的に価値を見いだして行く作業。
いつもみたいに探すだけじゃなく思い出す作業。
今年はそのあたりの仕事が多そうだから
必然的に何度も訪ねることになりそうだ。



ラーメン屋が異常繁殖してたのにはかなりびびったが。。。






具体的にどこかはこの場では内緒だ!!!




Greatest Hits

住んでた頃に突発的に聞きたくなってヘビーローテーション
が引っ越してからは聴かなくなった。
グレーな仕事の夜勤明けに駅前でこれ聴いてて
「世界は美しいのかもしれない」
と感じている24歳の俺に今
強烈に猛烈な駄目だしをしてやりたい。



シッカシシロヨーオマエ!!!!