高校生

中一の時に建てられた
田舎だからこその広さを誇る本宅ではなく
別棟になっている車庫の
断熱材すら入っていない二階に住んでいた。
冬はしゃれにならん。
鼠と何度か遭遇した。
腹がピンク色でなかなか可愛らしい。
野良猫もたまにいた。
猫にも鼠にも目を逸らしたら負けだ。
が、いつも俺が先に目を逸らし逃げられてしまう。





イラストを書くのが好きで
始めは絵の具で絵を描く部屋として使っていた。ろくなもん描いてなかったけど。
クラッシュのロンドンコーリングや白い暴動を聴きながら書いてた。
思えばクラッシュがどんな服を着ているかすらも
ぼんやりとしか知らんかった。




ちょっとした秘密基地気分だ。
そのうちそのままその部屋で暮らすようになった。






さっきいつものように酒を飲んで、
飲んだまんまの姿勢で寝潰れて
今の俺がその部屋で絵を描く夢を見た。





もう完成しそうな絵だった。
中央に人物。
なにかの石膏像みたいだったけど
鼻の形がよく落書きしたグラフティ調のキャラクターの鼻にそっくり。
バックにはスミ一色の水彩でぼんやりと書いた
白い暴動と
パーキンソンズのジャケ。
んで卒業式のときなんでかもらったメダルをボンドでくっつけて
真っ黒に塗りつぶしてた。

他にも写真みたいに枠取りして
コラージュしたみたいに書き込んである風景写真や
母親が結婚式の時にもらった
不気味な西洋・和人形の絵も書いてた。
異常な集中力で。
ふと気がつく。
俺こんなに書けたっけ?
んで仕上げに赤一色で相撲の格付表を
版画の技術で上から乗せれないか思案していた。
文字が読めるレベルじゃだめだから
一度FAXしたあと
たくさん縮小コピーかけまくったあと
拡大コピーして
文字を潰してみようと思案してみたところで目が覚める。



たくさんの要素が入った絵だった。
一つ一つ冷静に考えると
すべてあの部屋で体験したことだったり
今もあの部屋にあるものだったりの記号化のような気がした。
なんというか
昔からの友人に久々に会った気分になって
胸がきゅーっとなった。





報告。
仕事順調す。
まだまだいけるっす。
印刷の技術や
デザインのテクニックとか
紙の事とか
ちゃんと勉強中。
もっと高く飛べる!!
といささか興奮気味。
うん。まだ食い足りねえ。