スモーキーグレーなかっこいい猫とクリスマス

まったくクリスマスイヴだというのに
予定もないのかと聞きたくなるような
マヌケな顔ぶれで
延々とマヌケなやり取り仕事を繰り返し
気がつくとAM2:00。
非常に無駄に時間だけが過ぎていったイヴ。
終電もないので
ひとり飲み。
無論俺も予定なんてない。



一件目のもつ焼き屋。
さすがに今日はこんな感じの店も閑古鳥。
というより深夜だからか。
野沢菜の漬け物で一杯。
ご飯ものはもうないみたい。
もつ煮込みすら終わったそう。
腹減ったな。
むなしい。
有線放送がやたら苛つく。



二軒目はまた同じ感じの店で
ハイボール
ウィズもつ煮込みアンド梅茶漬け。
腹が満たされる。




今夜はやたらと寒い。
客も俺だけだ。
まったくの正月状態というか
すべてを独り占めしたような感覚。
東京のこっち側の深夜はどこも店じまいするから
こんな時間に飲んでるようなやつは
たいがいが飲食関係かアフターだ。
路地も誰もいないが。
たまにホステスの一団が急ぎ足で歩いている。
ものすごく静かな夜。
サイレントナイトなんて気取ったもんじゃない。
もつ煮込みと焼酎。
有線放送はなぜかプリンセス・プリンセス
アフターっぽいひと組が入店。
こんなところで飲み直しなんて
あんたがたもまったく情けないクリスマスだな。






閉塞感。
夜の底の底。






酔いも回ってきて
店の端っこのテーブルで
ちっちゃくなって
焼酎のお湯割りを舐めてる。
やっぱり有線放送がイライラを助長するので
イヤホンをして大音量で音楽。





始発で帰宅。
もちろん爆睡。






帰りしな寄った近所のコンビニ。
夜中はやっていないから久しぶりである。
いっつもスモーキーグレーなかっこいい猫がいたんだが
店番のばあちゃんが抱いているのは違う猫。子猫。
もちろんネッコネコにされる。
猫をなでながら「前までいた猫どうしたんですか?」
と聞いてみた。
どうやら随分長い間帰ってこないらしい。






スモーキーグレーなかっこいい猫はおとなしく
いつもホット飲料の什器の上で寝てた。
たまに店の自動ドアの前で「開けて〜」といった感じで
人が通るのを待っている。
確か何年か前のクリスマスの深夜に外であった事がある。
雪も降っていて、その年も結構寒かったな。
たまに気ままに外出していたみたいだから
帰りそびれてしまったんだろう。
自動ドアの前で座っていた。
寒そうだなあ、と撫でようとしたのだが
逃げていってしまった。
その後暖かいミルクティーを買って
「コワクナイヨーコワクナイヨー」
って近づいてミルクティーを手酌で近づける。
ナニナニ?って一瞬近づいたんだけど
フンってまた逃げてった。
猫ってミルクティー飲まないんだ・・・・




ただそれだけの繋がりなんだけど
なんだかちょっと悲しくて
「残念ですね」って言った。
子猫が手を甘噛みしてる。
がじがじ噛んでる。
すげー歯がとんがってるからちょっと痛い。
「これ!」とばあさんに怒られた子猫は
ジャンプしてレジスターに飛び乗った。
「そこ乗っちゃダメ!!」とまたしかられ
陳列棚を足場にトントントンと床に降り逃げていった。
やんちゃな坊主だ。







スモーキーグレーなかっこいい猫の
スモーキーさを
頭の中でCMYK変換しながら帰宅。




無論爆睡。
遊びの誘いがあったことを夕方に気がつき
後悔しながらまた爆睡。爆睡。