秋山問題のおれの見解(偉そうに)*改

ミルコは今俺の中でベスト5に入るぐらい好きな格闘家だ。


ハッスルに出てきたときはまじで嬉しかったし燃えた。
入ってくるタイミングまで予想できてたけど。あれはお約束の世界か。
こんなに感情移入できる外国人格闘家はいない。
ヒョードルノゲイラも好きだけど
背中から悲壮感しか漂ってこないような
くらーいあの男が好きなのだ。


でも冷静に考えてみると
もともとおれはミルコが嫌いだったはずだ。


初めてミルコを見たのは確かK-1でのプロレスラー藤田との総合の試合。
柔道&プロレスあがりのおれにとって
立ち技格闘技は興味の範疇外だったので
ミルコのことは全く知らなかった。
そんな全く知らない無表情な選手に
当時の(今でも)おれのヒーローにしてアイドルの藤田が
がっつり一発でやられてしまった。
タックルに入ったところにヒザを合わせられて
ぱっくり額が骨が見えるぐらい割れてしまってTKO。
それでもケロっとしてまだやれると喚いてる藤田も尋常じゃなかったが。
そりゃもう増悪の対象でしかないさ。
当時はプライドVSK-1という構造で興業を打っていた頃なので
ミルコはプロレスハンターの異名を与えられて
次々といろんなプロレス上がりがチャレンジしたけど
みんなことごとくやられてしまった。
何より驚異的だったのが
立ち技しかできないはずのミルコが
試合をかさねるたびに、総合に対応できるようになっていったことだ。
しかも驚異的なスピードで。



そんな連勝街道にストップをかけたのがノゲイラ
ミルコはいつものように得意の立ち技で一気に畳みかけた。
ノゲイラは防戦一方。
しかし起死回生の下からの三角締めで逆転勝利!
高田も小池も会場も大炎上!
そしてミルコは子供みたいに悔し泣き!
泣くか普通!


その後目標を打倒ノゲイラヒョードルに絞ったミルコ。
ヘビー級GPにエントリー。当然優勝候補。
しかし伏兵ランデルマンにまさかのKO負け。
がっくりきてるうつろな目のミルコが忘れられない。


だからこそその後のランデルマンとのリベンジマッチも燃えたし
無差別級GPもかなりグッときた。
いつのまにやらミルコはベビーフェイスになっていた。
初めは絶対的な悪役が敗北して
いつの間にやら凄い味方になってるようなパターン。
非常に少年ジャンプ的である。
去年UFCで惨敗したミルコは
国家議員を辞めてトレーニングに専念しているらしい。
あれほどにみっともない所を見せたあとで
国会議員を続けることはプライドが許さなかったみたい。
ランデルマンとのことを引き合いに出して
この道は簡単じゃないってインタビューで言ってた。
ギャラはいらないから負けた奴と試合させろって
要求してるみたい。
今月のKamipuroは必読だ!
もしもミルコに出くわしたら、遠くから
「お前エモだよう!」
と叫びたい。
そして
「エモ イズ ストューピット!」
と言われたい。(完全に妄想)











このケースに秋山を当てはめることはできないかと
去年ずっと考えていた。
根本的に考えれば
いっさいの反則はしておらず
単純に圧倒的な強さで増悪を買っていたミルコとは違うんだけど
遠心部分への反響の大きさだけをみれば
秋山は凄い。そして復帰戦で
あんだけ強いカーン相手に
不可解なまでの強さを見せて勝つんだから
実力も相当なものだと思う。




日本でここまで総合格闘技が普及したのはなんでか?
って考えたときに
ポイントになるのはヒールの存在だと思う。
ヒクソン・ホイスなどグレイシー一族の存在。
プロレスラー・プロレスファンにとってのミルコという存在。
一連のフジテレビ・ショック。
ロレンソの買収・日本からの突然の撤退。




それらを一緒にとらえるのは
かなり違うのかもしれないし
後者はネガティブな出来事でしかなかった。
しかし大晦日の「やれんのか」に繋がり
今まで格闘技の世界でどこも為し得なかった
「大連立」なんて大技を成立させるに至る。




まあ、タイミングがびったり合っちまったせいでもあるんだけど
秋山にとっては最悪のタイミングで最悪の会場での試合となった。
空前絶後のヒーロー桜庭との間にあった事件だった。
ああいう受け入れをされるのは仕方ないのかもしれない。





晦日はある意味ではハッピーエンドだったけど
業界全体で考えれば去年のマイナスは凄く重い。
取り返すにはやはりヒールの力が必要だ。
秋山以上にそれを持ち得るものは
他にはUFCぐらいしか思い浮かばない。
がんがん日本人とやらせたらいい。
んでがんがん秋山にやられたらいい。
日本人も韓国人も喜んで見る。
ストーリーを組み立てるだけの素材は
ばっちりそろってんだから。





ナショナリズムの側面から考えることも面白いかも知れないけど
いったん真っ二つになってちゃんと争えばいいと思う。
秋山は半分だ。
簡単にその気持ちなんて理解できないかもしれない。
煽りVに影響されすぎているのかも知れないけど
戦いを通して、文化の壁を超越した
パフォーマンスを発揮すること。
これが秋山に課せられた最大の課題だと思う。
本人が口にしているきれい事では片づけられない。
それは本当に残酷なことなのかも知れないけど。
もしもミルコのときと同じように
きれいに裏返る瞬間が来るならば
もしかしたらナショナリズムの問題も少し違って見えるかもしれない。
心無い切り口で秋山問題を誹謗するやつや
やれんのかの青木の試合のとき韓国人の対戦相手に酷いヤジを飛ばしていた連中に
価値観を変えるなにかを提示できる資格を秋山は持っていると思う。
それが半分の人の宿命のように感じる時がある。
力動山も大山倍達前田日明もやってみせた。
ただそれはやっぱり、問題以前の秋山がやっていたようなやり方じゃない。


と、無責任に言い放ってみたり。すんません。






とにかく秋山という逸材を抹殺してしまうのはもったいなさすぎる。
さっき大晦日の試合はノーコンテストということで
決定したみたいだけど
ぜひ再戦はするべきだ!
今年中はヒールとしての役割を全うして欲しい。
裏返るのはまだ先がいい。
再戦は今回以上にすさまじい試合になる予感がするし
ストーリーはつないでいかなければ
そのうち壁のシミみたいな
ただの点になってしまうからだ。
それを線で繋いで
見たこともないような絵を見せてくれないかな。



とか思ってたりする。