かよわき

ただの妄想かもしれないけれど
ずっと遅れて
昔感じた事の意味を理解できる時がある。






リングの上に立った二人は
禍々しい因縁やものものしい異名で彩られていたけど
それだけじゃない何かを俺は確かに感じていたのを覚えている。





時代の流れの矢面に立つ事で
その濁流に飲まれ、
いつの間にか逃げだし
行方をくらました男。




名のある一族に生まれて
生来の性根の激しさや不器用さから
いつの間にかはみだしてしまった男。





心のかよわい男同士の戦い。
元来、人が持ち得る「弱さ」のようなものが
裏テーマだったように感じている。
とてもせつない試合だった。






後ろがない戦いで何も出来なかった安生。



その後も徹底的にはみだし続けたハイアン。




その二人のどうしようもないところが
どうしようもなく魅力的だと今思う。
あの時は安生サイドからの視点でしか見れなかったけれど
すがりついてくる安生を困惑の目で殴り続けている
ハイアンが印象的だったのを覚えている。



来日前から尋常じゃないエピソードの数。
ヘンゾとマムシ兄弟と呼ばれていた。
初来日でカシンをぼこぼこにしたハイアン。
桜庭にあっさり負けたハイアン。
二回目のカシンにもあっさり負けてみせるハイアン。



○ハイアングレイシー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%BC

そんなハイアンが死んだ。




アウトローを否定するつもりはさらさらないけど
やはりハイアンは心が弱かったんだと思う。
無様な犯罪。
無様な死。







それゆえに
今、ただ愛おしく
ただ悲しい。






妄想だけが一人歩きしている感もあるが。